著作権法改正って何なの?わかりやすくマトリックスで解説してみたよ

ローレンス・レッシグが、著作権法改正について説明する時にわかりやすい表(マトリックス)を教えてくれたので、これを解説してみます。

これを読めば「著作権を撤廃にする?危なくないの?」という疑問が晴れるはず。

Read-Only Culture からRead-Write Cultureへの移行

インターネットが発展する前は、文化といえば、マスメディアが多数の消費者に届けるものであった(本やテレビなど)。コピー(私的複製)やファンによるリミックス(二次創作)は限られたものであったため、著作権法がそれらを特別に気にかける必要もなかった。

インターネットはこの前提を根底から覆した。クリック一つで何百万ものコピーが可能になり、あらゆる消費者がみずからクリエイターとなってコンテンツを生み出すことが可能になり、またそれらをYoutubeやニコニコ動画にアップロードして共有することが可能になった。クリエイティブ・コモンズの創設者ローレンス・レッシグによれば、これがRead-Only CultureからRead-Write Cultureへの変化だ。この部分は、これを読んでいるインターネットユーザーならすぐにピンとくると思う。

著作権法改正がめざすもの

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現在の著作権法はこの変化を考慮していない。かつて、インターネットが発展する前、著作権が関係する文化といえば左上の商業コピーだけであった。現在、著作権が関係する文化は私的複製(左下)、非商業目的の二次創作(右下)、そして商業目的の二次創作(右上)にまで拡張し、その影響力はかつては考えられなかったほど大きくなった。しかし、現在の著作権法は、インターネット時代の前の常識の元につくられているため、これらが文化や経済にどれほど大きな影響力を持つか考えることなく、上のマトリックス4つすべての欄に一律に赤い「Full Copyright」を貼っている状況なのである。

だから、デジタルコンテンツを扱うあらゆる状況で、あなたは著作権侵害をしてしまう潜在的な恐れがある。

ローレンス・レッシグ(クリエイティブ・コモンズ)や海賊党がめざす著作権法改正は、この真っ赤に染まった包括的な著作権を、状況ごとにカスタマイズしていこうという考えがベースにある。

  • 左上の商業用のコピーは、いままでと同じように著作権を適用させる。たとえば本の出版や、音楽ダウンロードサービスなどには著作権が発生しなければならない。
  • 反対に、右下のアマチュアによる改変やリミックスは完全にフリーであるべきだ。日本に溢れるアニメや漫画の二次創作はそれが商業目的でない限り、すべて認められるべきだ。このブログだっていろいろなところからコンテンツを引っ張っている「アマチュアによるリミックス」作品である。
  • そしてその中間に位置する、私的複製(左下)と商業目的の二次創作(右上)は、完全に自由というわけではなく、すべて著作権で管理されるのでもなく、フレキシブルに法を適応させるべきだ。

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これを、アーティストが自主的に選べるようにしたのがクリエイティブ・コモンズであり、それを法律として定めようとしているのが海賊党なのである。日本でも漫画家の赤松健さんが作品の二次創作利用を許可する「同人マーク」を考案、導入している。

デジタル時代のコンテンツには、デジタル時代の著作権を。

いま日本で話題になっている様々な「二次創作の著作権侵害」「違法ダウンロード」といった問題。また、世界中で多くのファンを集めている日本のエンタメコンテンツをどう発展させていくかという議論。どちらも、この視点を持ってはじめて、実のあるものになると私は思っている。


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