液体民主主義って?リキッドデモクラシー欧州初会合 レポ二日目

10:00 集合。今日はワークショップ/バーキャンプセッションの日。

まずは事前の提案を元に、セッションの議題を詰めていく。次々と挙がる議題を縒り合わせ、全部で16の議題をセット。それを4つの部屋×4時間帯にわけ、各々が好きな部屋に行って議論に参加することになった。

以下が議題(と場所と時間)一覧。

カフェテリア1 AQUARIUM URBAN カフェテリア2
11:15 LDの相互運用性/運用基準 LDの定義/もっともシンプル・もっともミニマルなLDとは? 委任の匿名性or公開性 EPリキッド:適格性認定
13:37 LDのビジュアル/ユーザビリティ LDを政治に導入するには 異なる委任モデルについて DemocracyOSについて
15:30 感情的意思決定とは? LDのスケーラビリティ(100万人程度まで) LDにおけるデータマイニング活用 EPリキッド:問題点とその克服方法
17:30 理想的なデモクラシーとは? LDプロジェクトの予算獲得方法 LDのゲーミフィケーション EPリキッド:実用化
19:00 終了

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最初のセッションは「LDの定義」の部屋に参加。このテーマの目的は、LDデベロッパーたちの間でLDの概念を共有し互換性を高めていくこと、そしてLDの定義をはっきりとさせシンプルにマスにアプローチする方法を考えていくこと。しかしこの議論が曲者だった!LDの必要条件と十分条件が参加者の間でまったくと言っていいほど異なり、一項目出るごとに大論争に発展した。そもそもLDITを 駆使した政治意志決定システムとして発展したが、それは必要条件なのか?選挙や意思決定の不断性は?「いつでも、どこでも」投票ができるという投票のユビ キティは?今回はとりあえず、項目をリストアップしてそれぞれの項目が必要条件か十分条件かを多数決で決めることにした。

必要条件として以下が挙がった。

  • 参加者全員に平等な、意見提出・委任・投票の権利
  • 任意の、そして(何時でも)変更可能かつ無効化可能な個人の票の委託権
  • 選挙の連続性・不断性
  • 意思決定の連続性・不断性

十分条件は以下のようなもの。

  • オンライン・電子テクノロジーの使用
  • 序列化された投票
  • オートノミー…コミュニティの自主的管理、自主的調整

その他にもさまざまな条件が挙げられたが(コミュニティの全体意志の発見、政治権力の再配分、意思決定の遍在性、投票前の熟議etcetc…)、とにかく議論はかなりカオスになったので、各自参考文献を参照し学問的裏付けをしながら、コミュニティパッドに随時編纂していくという結論になった。

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次のセッションはひとつの部屋に固定せず、さまざまな部屋を回りながらディスカッションに参加した。

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LDのヴィジュアル/ユーザビリティの部屋ではまず、ソフトウェアKudocracyの詳細なプレゼンが行われたあと、ユーザーインターフェース、ユーザーエクスペリエンスの向上について議論。そこで挙げられた必要要素を、プログラマーからのアプローチとユーザーからのアプローチのふたつに分け、その実現可能性について議論した。

DemocracyOSのデベロッパーエクスペリエンスの部屋では、DemocracyOSをローンチするに当たってどのような問題点が発生したか、現在の目標はなにか、EUとアルゼンチンでどのような協力体制が築けるか、などを議論。また、「どのようにしてインターネット政党を作るか」という点にも言及。

(Virgile Deville and Clemence, How to Make a Net Party: https://drive.google.com/file/d/0B4gh-zqn4KhXenh1UGhUeDdzQk0/view?usp=sharing)

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カフェテリア2は異なる委任モデルについての議論。これはLDの仕組みをより深く理解するうえでとても重要な議題だった。一日目のプレゼンでも明らかだったように、LDの各ソフトウェアはその異なるビジョンによって異なる委任モデルを採用している。現在のプロジェクトでは、大きく分けて以下の四つが主な委任モデルとなる。

  • 変移型・鎖型委任モデル (transitive/chain delegation)
  • ランク型委任モデル (preferential delegation)
  • 複数代理型委任モデル (multi-proxy delegation)
  • 非委任モデル(Non-delegation)

議論ではそれらの委任モデルの問題点とその改善点が挙げられた。特に、プロトタイプのモデルであり、かつ現在もっとも多くのLDプ ロジェクトで使用されている鎖型委任モデルは、スケーラビリティの面で大きな問題を抱えている。この問題が、ドイツ海賊党発のリキッドフィードバックが公 の政治システムとしてなかなか浸透しづらい理由のひとつともなっている。鎖型委任は、参加人数が増えれば増えるほどその委任の鎖が複雑、かつ冗長なものと なり、多数の委任票をあつめる「超投票者(super-delegates, super-voters)」 に権力が一極化する。これによって最終決定の正当性が逓減していき、マイノリティへ不寛容なものとなっていく。実際に、ドイツ海賊党でも、参加者が多くな るに連れて委任票も増大していき、反比例して直接投票率が低下、直接投票が効力を失ってしまう事例が起こっていた。この問題を避けるためには大きく分けて 以下の三つの方法がある。

  • 委任票の拡散化
    委任にカテゴリーを設ける
    ランク型委任、あるいは票分割型
    (複数代理型)委任を導入する など
  • 委任制限
    委任の鎖数を制限
    個人あたりの被委託票数/票比率を制限
  • 投票者へのエンパワーメント
    文化的素養
    市民への政治的知識の醸成

どの方法を、どの程度委任モデルに採用するかはまだ実験段階で、各LDプロジェクトが試行錯誤を続けている。しかし、これらをさまざまな委任モデルを検証するにはドイツ海賊党でのLD利用実績を考察することが有用だ。今回のディスカッションでも、ドイツ海賊党員から、ランク型委任や複数代理型委任モデルは一定程度鎖型委任が内包する問題を解消し政治腐敗を防ぐ、との意見があった。今後のLDプロジェクトの更なる発展で、どのモデルが有権者の意思を広く深く汲み取りうるモデルであるのか、さらに精細なデータが出てくることを期待したい。

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セッション3LDのデータマイニング活用のセッションに参加。これはかなり楽しかった!大方はLDソフトウェアデベロッパーたちの独壇場で、ビッグデータをLDにどう活用するかの斬新なアイデアがどんどんと展開される。この議論は面白かったので、次のブログポストで詳しく書きたいと思う。

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2日目のディスカッションデーでもっとも刺激的だったのは、LDのあらゆる分野におけるポテンシャルをひしひしと感じたことだ。最初の議論ではもちろん、LDの 「民主主義」における概念上の可能性。委任モデルの討論では、代議制民主主義の制度上の可能性。データマイニングでは、個人の政治的意思決定をどのように 表出させるか、政治というものを個人にどのように近づけていくか、の非常に実用的、実現可能なアイデアを散聞し、政治の未来を感じた。

2日間に渡る液体民主主義ミートアップは、本当に知的好奇心をくすぐられる楽しい体験だった。これに終わらせず、ヨーロッパ、日本、そして世界に、どのようにより良い政治制度を実装していけるのか、日々考察していきたいと思う。

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