オンラインプラットフォームを使った議論と投票。アイスランド海賊党の政策決定プロセスがやっぱりオモシロイ③

アイスランド海賊党員で、市議会で評議員をやっているthorgnorさんに、アイスランド海賊党の政策決定プロセスについて教えてもらった。まず、政策決定には党のオンライン・プラットフォームを使う。すべての公式な政策決定は、このプラットフォームの多数決投票によって決められなければならない。

サイトに行くと、左上のコラムに「政策一覧」(外交、安全保障、社会保障、教育、…など)、右のコラムに「すでに議論が終了し、決定が下された政策」、左下のコラムに「現在議論中の政策」と分かれている。

スクリーンショット (27).png
アイスランド海賊党の政策決定プラットフォーム

政策決定議論のプロセスはこうだ。

まず、とある政策について議論したいひとは誰でも(党員でなくても!)、党の理事会(Executive board)に申請して、政策会議をひらくことができる。政策会議には誰でも参加できる。その会議で当該の政策は5%以上の支持を得なければならない。

5%以上の支持を得た政策は、今度は上記のオンラインプラットフォームで議題として提示される。ここであらためて議題は掲示板で議論されることになる。政策会議は党員でなくても発議することができるが、オンラインプラットフォームでコメントしたり投票したりするには、党員である必要がある。

おもしろいのは、アイスランドではマイナンバーに似た個人識別共通番号制度があり、このプラットフォームはその共通番号リストと連動しているため、党員になる=オンラインプラットフォームに登録する=アイスランド市民として認証される、がひとつの行為でつながっている。これによって匿名による荒らしや不正投票を防ぐことができる。(アイスランドのマイナンバー制度、というまたものすごく面白い話もしたのだが、それはここでは割愛)

党員としてシステムにログインすると、コメント機能や投票機能が表示され、設定された期間内であれば自由にコメントしたり、投票したり自分の投票を変えたりすることができる。

ドイツ海賊党で導入されたリキッドフィードバックの仕組みに似ているが、投票を委任できないという点で「液体民主主義」ではない。

テクノロジー(オンラインプラットフォーム)をつかった政策決定、直接投票、投票行動の可変性などなど、様々な点でドイツ海賊党やスウェーデン海賊党などが掲げた「デジタルテクノロジーを使った直接/間接民主主義のクオリティの向上」と類似する点がある。しかし、アイスランド海賊党の重点はそこにはないのだという。

thorgnorさんのこんな言葉が印象的だった。

「これは僕の意見だけど、アイスランド海賊党のコア・イシューは著作権問題でも直接民主制の実現でもない。アイスランド海賊党が目指しているのは、『権力を持つひととそうでない人の、力の差を是正すること(fixing imbalance between the power and the people)』だ。だからこそ、個人を権力の濫用から守るためにプライバシーの保護が必要だし、権力をひとびとと同じレベルに下げるために、政治の透明性が必要なんだ」

アイスランド海賊党の、スウェーデンやドイツの海賊党とはまた違った視点の置き方に感嘆すると同時に、姿形を変えさまざまな場所、さまざまな時に発現する「海賊党」なる現象のおもしろさ、を思った。

DSC_0233
家の窓から見えた風景

「権力と人々の格差を是正」を掲げるアイスランド海賊党の理念の話はまた今度!


4 thoughts on “オンラインプラットフォームを使った議論と投票。アイスランド海賊党の政策決定プロセスがやっぱりオモシロイ③

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