【EU】欧州議会でネットワーク中立性を脅かす法案が通過。ネットは、誰のものか。

今日、欧州議会本会議で、ネットワーク中立性を阻害する法案が成立した。

このニュースはWashington Post, BBCなどでも大々的に取り上げられている。

ネットワーク中立性とは

ユーザー、コンテンツ、サイト、プラットフォーム、アプリケーション、接続している装置、通信モードによって差別あるいは区別することなく、インターネットサービスプロバイダや政府がインターネット上の全てのデータを平等に扱うべきだとする考え方。 (Wikipedia より)

savetheinternet

「オープンで自由なネット」の支柱ともいうべきネットワーク中立性の概念。法案はEUテレコム単一市場の完成のための規制パッケージのひとつだが、その内容にネット中立性の立場から反対の声が多く挙がっていた。

  1. 特別料金を払った企業に、インターネットサービスプロバイダ(ISP)がその企業の通信を優遇する「高速レーン」サービスを許可すること
  2. 特定のアプリを使った場合に発生するデータを、ユーザーのデータ通信料に加算しないサービス(ゼロ・レーティング、zero-rating)を許可すること
  3. ISPが独断で、特定の企業のサービスのデータ通信を遅くしたり速くしたりすることを決められる「企業差別」を許可していること
  4. ISPがトラフィックの混雑状態を管理する権限を強め、実際の混雑状態以前に任意のトラフィックを優遇したり劣遇したりすることを許可していること

(参照: Web Foundation, Net Neutrality in Europe: A Statement From Sir Tim Berners-Lee)

これらはどれも、自由かつオープンなインターネットの考え方に真っ向から反対し、資金力のある企業のみが良いデータ通信サービスを受けられる状況を促す。中小企業やスタートアップは自分たちのサービスをユーザーに届けづらくなりイノベーションが生まれづらくなる。またさらにある一定の言説のみが優遇される状況が生まれやすくなることから、言論の自由も脅かされる。

これらの条文に多くの人権団体や政治家、アクティビストが反対の声をあげた。その中にはウェブの生みの親であるティム・ バーナーズ・リーやクリエイティブ・コモンズの創始者であるローレンス・レッシグ教授も含まれている。

欧州議会海賊党ジュリア・レダ議員をはじめとする議員が法案修正案を提出し、Netflix、Tumblr、Vimeo、Kickstarter、Redditをはじめとするウェブサービス企業がこれらの修正案を受け入れるよう請願したが、投票の結果それらは棄却され、上記の条文が残ることとなった。

このEU内の議論はアメリカにおけるネットワーク中立性の議論と時期をともにしている。アメリカでは今年二月、ISPが料金を払った特定のサービス提供者に回線の帯域を優先的に割り当てることを禁止する「ネット中立性ルール」を連邦通信委員会(FCC)が採択したことで話題になった。

このときFCCのトム・ウィーラー委員長は、「インターネットへの自由かつオープンなアクセスへの政府や民間事業者の支配を認めてはならない。インターネットはブロードバンド業者が支配するにはあまりにも重要な分野だ」と述べている。アメリカでのこの流れに対し、EUは逆の方向性を取った形になる。

インターネットアクティビストたちからは落胆の声が相次いでいる。インターネットの未来はどうなるのか。


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