オンラインの著作権論争に激震!Youtubeの踊る赤ちゃん(Dancing Baby)訴訟って?

インターネットと著作権をめぐる論争に、新たな歴史が加えられた。2007年から争われてきたレンズ対ユニバーサル・ミュージック訴訟(Lenz v. Universal Music Corp, 通称踊る赤ちゃん訴訟)に判決が下ったのだ。

踊る赤ちゃん訴訟とは

アメリカに住むレンズ氏が、自分の子どもがPrinceの”Let’s go Crazy“に合わせて踊る姿を29秒の動画にしてYoutubeにアップロードし、著作権者であるユニバーサル・ミュージックがこれを著作権侵害だとしてYoutubeに削除を求めたことから始まった訴訟。レンズ氏はこの動画は著作権作品のフェア・ユースにあたるとして削除は不当だと訴えた。2015年9月14日、サンフランシスコ連邦裁判所はユニバーサルの訴えを退け、「著作権者は削除申請を送る(テイクダウン・ノーティス)前に、フェアユースを考慮に入れなければならない」という判決を下した。

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この判決は、オンライン上の著作権侵害をめぐる論争に新たな歴史を書き加えることになった。とくに、著作権侵害措置としてノーティス・アンド・テイクダウンを取り入れている国(アメリカ・日本・EUを含む)には大変に大きなニュースである。

ノーティス・アンド・テイクダウンとは

インターネット上のウェブサイトなどにアップロードされた著作権侵害に該当するようなコンテンツについて、著作権者からの著作権侵害の通知を受けたインターネットサービスプロバイダが、実際に違反しているのかどうかといった判断は行わずに、コンテンツをアップロードした会員に対し、そうした通知があったことを連絡した上で、一定期間内に会員側からの異議申し立てが無い場合は、その時点で該当のコンテンツを削除すること、またはそうした手続きのこと(新語時事用語辞典より)。

かんたんにいうと、

ユニ●ーサル「著作権侵害動画みっけー!削除ヨロ」

Y●utube「著作権侵害してるかわかんないけどおっけー!アップロードした人にはメール打っとくわ」

Y●utube「返事なかったから削除するわー、結局著作権侵害してたかどうかはわかんないけど!

ノーティス・アンド・テイクダウンは、アップロードされたコンテンツに関係のないプロバイダーが著作権侵害の判断をしなければならない状況を回避するため、また著作権侵害のコンテンツを迅速かつ効率的に削除するために設けられた措置である。

しかし、そのいっぽうで手続きがあまりに簡便であるため、著作権者による制度の濫用が起こってしまい、結果として表現の自由が抑制されてしまうという批判があった。実際、ユニバーサル、ソニー、ワーナーといったエンタメコンテンツ系大企業は著作権侵害コンテンツを洗い出すソフトウェアを作ってYoutubeやグーグルを徘徊させ、その要件にマッチすれば自動削除要請、とプロセスを完全に自動化しているのだ。

今回の判決がでたことにより、エンタメ企業はそのケースごとにフェア・ユースの可能性を考慮しなければならなくなり、テイクダウン・ノーティス発動がより難しくなった。多くのユーザーにとって、またユーザーのオンライン上の自由を促進してきた電子フロンティア財団などの市民団体にとっての大きな勝利となった。

一方で、この判決への懸念もある。

たとえば、「フェアユースを『考慮』すべき」とはあるものの、以前その決定権は著作権者側にあり、不当なパワーバランスはかわっていないという指摘。

また、Registerのこの記事は、「この判決は、ノーティスアンドテイクダウンの手続きが煩雑になったことによりもはや訴訟に悩まされることのなくなったシリコンバレーのテック企業の勝利であり、アーティストは正当なリターンを得ることができなくなった」と悲観視している。


P2Pファイルシェアとちがい、オンラインコンテンツプラットフォームの著作権侵害は、タダ乗りするユーザーvs搾取されるクリエイター、または監視と削除で圧倒するコンテンツ企業vs著作権侵害におびえるユーザー、という単純な二項対立ではない。オンラインプラットフォームはコンテンツ企業にとっては取り締まりの対象であると同時にマーケットでもあるし、クリエイターにとっては搾取される場であると同時に表現の場でもあり、プラットフォームにとってもコンテンツそのものが自分たちのサービスの一部であるからだ。ユーザー、クリエイター、著作権ホルダー(コンテンツ企業)、オンラインプラットフォーム、インターネットサービスプロバイダー、そしてハードウェア企業…多様なアクターの利益が絡み合い、そのバランスをとるのは非常に難しい。

インターネットという場所でいかにユーザーの自由を確保し、いかにクリエイターに還元していくか、を焦点に草稿された海賊党議員のEU著作権法評価レポートだが、欧州委員会が年末に公表することになっている著作権法草案にむけて、またデジタル単一市場の完成という壮大な目標へ向けて、オンラインプラットフォームが著作権にどのようにかかわっていくべきなのかという問題は避けて通れない。ちかいうち、そのことについてもブログでまとめたいと思う。


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